【Q】イフェクサーSRの漸減に注意することは?

【質問】イフェクサーを漸減していく際に注意すべきこと、漸減の根拠となる資料があれば教えてほしい。

【A】イフェクサーSRカプセル (成分名 : ベンラファキシン塩酸塩) は、SNRI (セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤)です。

①増量方法について
イフェクサーSRカプセルの開始用量は1日37.5 mgで、1週間後より1日75mgに増量します。 その後の増量については1週間以上あけて、75mgずつ行う必要があり、Max量は225mgとなります。ただし、患者背景によって、増量の用量幅は調節する必要があります、

②漸減方法について
一般的に、抗うつ薬の離脱症状は、少なくとも6週間服用した抗うつ薬を突然中止した後に、約20%の患者さんに起こり、抗うつ薬の離脱症状は服用期間が長いほど、さらに薬剤の半減期が短いほど起こりやすいとされています。(Am Fam Physician 74:44, 2006)

イフェクサーSRカプセルの成分であるベンラファキシンの半減期は約5-12時間程度、活性代謝物のデスベンラファキシンの半減期が約8-14時間程度と抗うつ薬の中では半減期が短いため、突然中止すると離脱症状を生じるリスクが高いと考えられます。

現在、使用量が多い抗うつ薬の中で、ベンラファキシンとパロキセチンが離脱症状のリスクが最も高いと結論づけている報告もあります。(Psychother Psychosom 89:283–306, 2020)

 

イフェクサーSRの国内第3相試験 (B2411263) において、具体的な漸減方法が示されています。

・75mg/日群は、投与開始8週後から37.5 mg/日に減量し、1週間投与後、中止。

 ・75~225 mg/日群は、投与開始 8 週後から75 mg/日に減量し、1 週間投与後、37.5mg/日に減量。 (イフェクサーSR37.5mg, 75mg インタビューフォーム)

→臨床試験においては、イフェクサーSR75mgを服薬した「大うつ病性障害と診断された患者」は1週間で37.5mgずつ漸減しています。しかし、この漸減方法で離脱症状が生じたかどうかについては不明です。

これまでに抗うつ薬の漸減に関して、日数や用量が明確に示された報告はありません。基本的には、抗うつ薬の漸減は緩徐であるほうがいいとされています。抗うつ薬の減量は1~4週間ごとに行う必要があり、完了までに数ヶ月を要することもあります。漸減し、離脱症状の有無を確認しながら、ゆっくりと漸減させることが重要です。また、 離脱症状の危険因子は、抗うつ薬の用量が多いことや服用期間が長いこと、半減期が短く受容体親和性が高い薬剤、突然の中止すること、これまでに抗うつ薬の離脱症状があったか、年齢が若いことなどが挙げられています。 (CLEVELAND CLINIC JOURNAL OF MEDICINE VOLUME 89, 1, 2022)

まとめると
イフェクサーSR (成分名 : ベンラファキシン塩酸塩) は、半減期が短く、離脱症状がでやすい薬剤の一つです。減量は1~4週間ごとに37.5mgなど段階的に行う必要があり、 離脱症状の危険因子がある患者についてはそれよりも長い期間で漸減する必要があります。

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