【Q】ミグリトール(セイブル®)の食後投与の可否は?

【A】セイブル錠は「食後」投与でもAUCは変わりません。そのためセイブル錠は「食直前」での服薬が難しいのであれば、「食後」への切り替えも可能と考えられます。ただし「食直前」のほうが食後30, 60分の血糖抑制が効果的であるため、「食直前」投与が難しい患者に限られます。

通常、成人にはミグリトールとして1回50mgを1日3回毎食直前に経口投与する。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら1回量を75mgまで増量することができる。
(三和科学研究所 セイブル錠25mg,50mg,75mg 添付文書)

→添付文書上で記載されている用法は「毎食直前」となっています。

 

食後の血糖上昇とインスリン分泌に対する作用
食事療法により十分な血糖コントロールが得られない2型糖尿病患者40例を対象に、入院1日目の朝食直前にミグリトール50mg又はプラセボを経口投与し、食事負荷試験を実施、入院2日目に薬剤を交差して同様に食事負荷試験を行った。その結果、ミグリトールは食後3時間以降で血糖上昇及びインスリン分泌抑制は認められず、食後早期(30分~1時間)の血糖上昇を抑制するとともに、インスリン分泌を抑制した。
(三和科学研究所 セイブル®️錠25mg,50mg,75mg インタビューフォーム)

→『セイブル』は「毎食直前」の服薬にて食後30分~1時間の血糖上昇を抑制することができため、「毎食直前」と設定されたことがわかります。

 

『セイブル』を服薬してから効果発現するまでの時間は?

・治療上有効な血中濃度 該当資料なし
・Tmax 単回経口投与:1.83~2.58 時間
(三和科学研究所 セイブル錠25mg,50mg,75mg インタビューフォーム)

→1.83~2.58時間後に最大血中濃度に到達します。治療上有効な血中濃度は明らかになっておりませんので、効果が発現する明確な時間は不明です。

 

『セイブル』の食後投与は?

ミグリトールの朝食開始30分後服用試験では、食直前投与のほうが食後30, 60分の血糖抑制は良い。しかし血糖曲線下面積(AUC 0-180分)では同等の血糖抑制効果である。(Diabetes Res Clin Pract 2007;78:30-33)

→『セイブル』の効果発現時間から食後30分and食後60分の血糖抑制効果は「食直前」の方がよいと考えられます。

食事開始後30分以内に投与されたミグリトールは血糖コントロールに有効である。食直前にミグリトールを服用し忘れた場合でも、食事30分後までは有効である。
(Diabetes,Obesity and Metabolism,10,2008,970–972)

→食後30分以内であれば『セイブル®️』の服薬は可能であると考えられます。反対に、食後30分を超えれば、効果は非常に低くなると考えられます。

 

 

2型糖尿病患者で3ヶ月間の期間でミグリトールの食直前投与と食後30分投与で効果と副作用を比較した。その結果、食後服薬投与は食事直前に投与された場合と同程度にHbA1cを低下させ、1,5-AGを上昇させた。副作用の発生率は、食後と食直前で変わらなかった。
(Diabetes,Obesity and Metabolism,10,2008,970–972)

→「食後」は「食直前」と比較して、3ヶ月間のHbA1c値と1,5-AGの改善効果には影響がなかったと報告されており、「食後」でも効果があると考えられます。また、副作用も「食後」と「食直前」で差がなかったと報告されています。

会員登録していただくとできること
記事を全文閲覧できます。 記事を全文閲覧できます。
記事の全文が検索できます 記事の全文が検索できます。
週1回メルマガが届きます 週1回メルマガが届きます
質問投稿することができます 質問投稿することができます

関連記事

【Q】ミグリトール(セイブル®)の食後投与の可否は?

【A】セイブル錠は「食後」投与でもAUCは変わりません。そのためセイブル錠は「食直前」での服薬が難しいのであれば、「食後」への切り替えも可能と考えられます。ただし「食直前」のほうが食後30, 60分の血糖抑...

新着記事

「用時懸濁」指示時における粉末服用の可否は?

【質問】ドライシロップについて。用法に用時懸濁とだけ記載ある場合は、粉のまま服用できる患者だとしても必ず水に溶かしてから服用する必要があるのでしょうか。 テオフィリンDSのように顆粒のままでも服用でき...

亜鉛製剤による銅欠乏リスク:血清亜鉛値が正常でも銅の定期測定は必要か?

【質問】貧血傾向がある方で、ポラプレジンクや酢酸亜鉛などの亜鉛補充の薬を長期的に内服していた場合の銅欠乏の副作用についてどのようにフォローすべきなのかご教示ください。 採血で亜鉛の項目を確認すること...

欠食はSERMの血栓症、活性型VD3の高Ca血症リスクを高めるか?

【質問】欠食は、SERMと活性型VD3製剤の副作用リスク因子となるか。 SERMの静脈血栓症、活性型VD3製剤の高カルシウムの副作用について。 1食抜くと400mlの水分不足となると言われていますが、摂取水分の減少の面...

新着記事をもっと見る