【質問】「無菌室」があれば共同利用契約を交わすことができるようですが、調剤室に無菌設備があるだけで部屋がない場合は法的手続きなく借りられるのでしょうか? それとも自薬局以外の場所では調剤不可(調剤を断る正当な理由になる)ですか? (例)点眼薬の分注
【A】無菌調剤室の共同利用する場合の定義として以下が定められており、クリーンベンチがあるのみでは共同利用することができません。
・高度な無菌製剤処理を行うために薬局内に設置された、他と仕切られた専用の部屋であること
・無菌製剤処理を行うための設備であっても、他と仕切られた専用の部屋として設置されていない設備については、無菌調剤室とは認められないこと
(引用 : 平成24年8月22日 薬食発0822 第2号厚生労働省医薬食品局長通知)
点眼薬の分注は無菌的に行う必要があり、無菌設備がないと調剤することができません。
「調剤に従事する薬剤師は、調剤の求めがあった場合には、正当な理由がなければ、これを拒んではならない。」の正当な理由として、以下が挙げられます。こちらには無菌設備については記載がありませんが、点眼薬の分注は物理的に不可であるため、正当な理由として認められるのではないでしょうか。
ア 処方せんの内容に疑義があるが処方医師 (又は医療機関) に連絡がつかず、疑義照会できない場合。但し、当該処方せんの患者がその薬局の近隣の患者の場合は処方せんを預かり、後刻処方医師に疑義照会して調剤すること。
イ 冠婚葬祭、急病等で薬剤師が不在の場合。
ウ 患者の症状等から早急に調剤薬を交付する必要があるが、医薬品の調達に時間を要する場合。但し、この場合は即時調剤可能な薬局を責任をもって紹介すること。
エ 災害、事故等により、物理的に調剤が不可能な場合。
(H5.4.30 薬発第408号 薬務局長通知)
以下の厚生労働省から通達があった無菌調剤室を共同利用する場合の留意点を記載します。
「薬事法施行規則の一部を改正する省令の施行等について 無菌調剤室を共同利用する場合の留意点等
(1) 無菌調剤室提供薬局と処方箋受付薬局の間で共同利用に関して必要な事項を記載した契約書等を事前に取り交わしておくこと。契約書等には、少なくとも以下の内容を含むものであること。
① 処方箋受付薬局の薬局開設者が、事前に無菌調剤室提供薬局の薬局開設者の協力を得て講じなければならないとされている指針の策定、当該薬剤師に対する研修の実施その他必要な措置について、その具体的な内容を定めておくこと(第1(2)関係)。
② 無菌調剤室を利用する処方箋受付薬局の薬剤師から処方箋受付薬局の薬局開設者及び無菌調剤室提供薬局の薬局開設者の双方に対し、無菌調剤室を利用した無菌製剤処理に係る事故等が発生した場合に、速やかに報告するための体制を定めておくこと。
(2) 無菌調剤室は、以下の要件を満たすものであること。
① 高度な無菌製剤処理を行うために薬局内に設置された、他と仕切られた専用の部屋であること。無菌製剤処理を行うための設備であっても、他と仕切られた専用の部屋として設置されていない設備については、無菌調剤室とは認められないこと。
② 無菌調剤室の室内の空気清浄度について、無菌製剤処理を行う際に、常時 ISO14644-1 に規定するクラス7以上を担保できる設備であること。
③ その他無菌製剤処理を行うために必要な器具、機材等を十分に備えていること。(3) 処方箋受付薬局の薬剤師が利用できる無菌調剤室提供薬局の設備は、無菌調剤室及び無菌調剤室内で行う無菌製剤処理に必要な器具、機材等のみに限られること。
(平成24年8月22日 薬食発0822 第2号厚生労働省医薬食品局長通知)