【A】芍薬甘草湯(こむら返り)の代替薬候補として、エペリゾン (ミオナール錠)、チザニジン(テルネリン錠)、ダントロレンナトリウム(ダントリウムカプセル)、レボカルニチン(エルカルチンFF錠)、疎経活血湯、四物湯、四逆散「寝る直前に6週間、ふくらはぎとハムストリングの筋肉のストレッチをすること」などがあげられます。
「こむら返り」(腓腹筋痙攣)は、強い痛みとともに突然発生する不随意の筋収縮を指します。これは通常、運動中に筋肉に短期間の収縮が加わるときや、安静時に突然筋肉に負担がかかったときに生じます。こむら返りの原因は完全には解明されていませんが、血液中の水分や塩分のバランスが崩れたり、筋肉疲労、下肢静脈がうっ血などが要因とされています。
治療薬として、筋肉のけいれんと痛みを軽減する効果を持つ「芍薬甘草湯」が一般的です。主成分である芍薬と甘草は筋肉を弛緩させることで、症状が軽減されます。「芍薬甘草湯」の代替薬には筋弛緩薬のエペリゾン塩酸塩錠(商品名 : ミオナール錠)、チザニジン塩酸塩錠(商品名 : テルネリン錠)があげられます。また、ダントリウムカプセル (ダントロレンナトリウム水和物)も全身のこむら返りの症状を和らげる効果があります。
(参考 : 今日の治療指針2019年版、各種添付文書)
芍薬甘草湯やダントロレンナトリウム水和物以外でも、レボカルニチン(エルカルチンFF錠)、疎経活血湯、四物湯などがこむら返りの軽減に効果的であるとの症例報告されています。
こむら返りを併発している患者20例に対して、レボカルニチンを1日600mg、4週間にわたり投与したところ、こむら返りの発生頻度や持続時間、痛みが低下したという報告があります。(カルニチン投与がこむら返りに与える影響, 中部日本整形外科災害外科学会雑誌 61(1), 177-178, 2018)
また、再発性のこむら返りに対して疎経活血湯を使用した33例の検討結果も報告されています。(Kampo Med Vol.68 No.1 40-46, 2017)
さらに、こむら返りに対する四物湯エキスの有用性についても研究が行われています。(Kampo Med Vol.66 No.3 244-249, 2015)
毎晩、寝る直前に6週間、ふくらはぎとハムストリングの筋肉のストレッチを行うことで、夜間の高齢者のこむら返りが軽減したとの報告されています。
(J Physiother 2012 Vol. 58 Issue 1 Pages 17-22)
四逆散には芍薬、 甘草、柴胡、 枳実 が含まれているため、芍薬甘草湯の代替薬となる可能性があります。