【質問】α1遮断薬の併用について 前立腺肥大症の患者さんで尿意切迫感や夜間頻尿の方で、たまにα1遮断薬同士の併用の処方をみることがあります。ユリーフ+エブランチルやハルナール+エブランチルのようにエブランチル(ウラピジル)が併用される場合が多そうな印象です。 エブランチルは非選択的α1遮断薬で、唯一神経因性膀胱での排尿障害にも適用があるので、それが併用される理由なのかなと考えていますが、前立腺肥大症ガイドラインや男性下部尿路症状ガイドラインにもα1遮断薬同士の併用の記載は私が見た限りではなかったです。なので、併用はよくあることなのか、またエビデンスがあるのか、ご教授をお願いいたします。
【A】現時点では、α1遮断薬に関する前立腺肥大の文献を見つけることはできませんでした。
エブランチルはもともとは降圧薬として開発されたα1遮断薬で、1988年に承認されました。しかし、その作用は主に前立腺平滑筋に高いため、1995年に「前立腺肥大症による排尿障害」の追加承認を受けました。さらに、1999年には、「神経因性膀胱に伴う排尿困難」が承認追加されました。これはエブランチルが尿道平滑筋を弛緩させ、尿道全域の内圧を低下させることにより、骨盤神経刺激時の排尿において膀胱内圧に影響することなく排尿量を増加させるためです。
以上より、エブランチルは「高血圧」、「前立腺肥大症による排尿障害」、「神経因性膀胱に伴う排尿困難」の3つの適用を持っている薬剤です。これらの適用症考えると、「ユリーフとエブランチルの併用」や「ハルナール+エブランチルの併用」など併用されるケースとしては、下記が考えられますが、断定的な結論を出すことはできません。
以下の症状をもつ患者がこれらの薬剤を併用する可能性があります。
・前立腺肥大と高血圧がある患者
・神経因性膀胱と前立腺肥大症に伴う排尿困難がある患者
エブランチル (ウラピジル)は、前立腺肥大症に使用され、α1とα2遮断薬作用をもつ薬剤です。
α1A(前立腺平滑筋)に対する選択性はウラピジルよりタムスロシンのほうが大きいとされています。
α1Bは血管に作用します。
エブランチルの適用
・本態性高血圧症、腎性高血圧症、褐色細胞腫による高血圧症
・前立腺肥大症に伴う排尿障害
・神経因性膀胱に伴う排尿困難