【A】サンドスタチン皮下注用100μgは消化管閉塞に伴う嘔気,嘔吐,腹部膨満などの各種消化器症状を改善する。日本緩和医療学会が発行するがん患者の消化器症状の緩和に関するガイドラインでは,がんに伴う消化管閉塞に起因する嘔吐症状に対し、オクトレオチド300 μg/ 日の投与が推奨されている。サンドスタチン皮下注用100μgは院外処方箋に記載可能な薬剤となっており、在宅医療のがん緩和領域においても使用される薬剤である。
https://sagasudi.com/【q】院外処方可能な注射薬は?/
サンドスタチンの適応は皮下注のみである。
中心静脈からの持続投与は適応外と考えられるが、実臨床では使用されていると考えられる。
エルネオパとサンドスタチンの混合した時の安定性については、混合可能であると考えられる。ただし、エルネオパ1号輸液と混合後、3日後に90%まで低下したと報告があり、3日までに使用する必要がある。
https://sagasudi.com/seizai1812181/
以下に持続皮下投与、持続静注で投与した症例報告を示す。
「消化管閉塞に伴う嘔吐症状に低用量オクトレオチドが奏功した終末期がん患者の2 症例」では、オキシコドン注射液とオクトレオチドを混合 して持続皮下投与を試みた症例 (テルフュージョン小型シリンジポンプ) と、オキシコドン注射液とオクトレオチド混合 してCADD-Legacy PCAを用いて0.2 ml/h で 24 時間持続皮下注射で投与した例が報告されている。
日本緩和医療薬学雑誌(Jpn. J. Pharm. Palliat. Care Sci.) 9 : 93-96 , 2016
http://jpps.umin.jp/issue/magazine/pdf/0903_05.pdf
「酢酸オクトレオチドが奏効し在宅ホスピスケアが 可能となった胃がん術後がん性腹膜炎の 1例」ではオクトレオチドの24 時間持続皮下投与が1例報告されている。
Palliative Care Research ; 4(2) : 321-329, 2009
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspm/4/2/4_2_321/_pdf
「癌終末期消化管閉塞に対するオクトレオチドの有用性」ではオクトレオチドの持続皮下注が5例、持続静注2例報告されている。
日消外会誌 vol40 : 4, 522-527, 2007
https://ci.nii.ac.jp/els/contents110006242607.pdf?id=ART0008264347
「在宅緩和ケアにおいて利用可能な消化器症状に対するオクトレオチド効果判定法の検討」では持続皮下注が 20例,持続静注が 2例報告されている。
(日本緩和医療薬学雑誌(Jpn. J. Pharm. Palliat. Care Sci.) 3 : 53-61 (2010))
http://jpps.umin.jp/issue/magazine/pdf/0302_04.pdf
緩和ケア病棟内での終末期がん患者における消化管出血において, オクトレオチド投与が症状緩和に有効であったと考えられた 4 症例。投与経路は記載されていない。
(Palliative Care Research 9(4): 523‒527, 2014)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspm/9/4/9_523/_pdf/-char/ja