【Q】腎障害患者に対するマグコロールPの代替薬は?

【質問】腎障害患者に対するマグコロールPの代替薬は?一つの案として、新薬モビコール配合内用剤は代替薬として使用可能?

【A】腎障害のある患者へのマグコロールP「検査前の腸管内容物の排除」の代替薬として、モビコール配合内容剤を使用をするには効果が不十分であると考えられます。

モビコール配合内容剤とほぼ同成分のモビプレップは、「大腸内視鏡検査、大腸手術時の前処置における腸管内容物の排除」が適応となっています。適応が「慢性便秘症」であるモビコール配合内容剤はモビプレップと比較して、成分量(マクロゴール4000など)は非常に少なくなっています。【モビプレップ〔マクロゴール200.0 g〕に対してモビコール配合内容剤〔マクロゴール6.5625g〕】

補足 : モビコール配合内容剤は1包にマクロゴール4000 6.5625gが含有しています。モビコール配合内容剤は1日6包までであるため、実質マクロゴール4000は約40g/日までとなります。モビプレップにはマクロゴール4000が200.0g含有しているため、モビプレップほどの効果を出すためにはモビコール配合内容剤を約30包服薬する必要があります。

マグコロールPは腎障害のある患者には禁忌となっているのに対して、モビプレップは慎重投与となっているため、マグコロールPよりも腎障害患者に使用されやすいとされています。マグコロールPはMgが含有しているため腎障害のある患者には禁忌、モビプレップは服用水分量が多いため慎重投与となっています。モビコール配合内容剤には腎障害患者に対する記載は特にありません。

 

モビコール配合内用剤とは?
モビコールは欧米のガイドラインで慢性便秘症治療薬として推奨されているPEG製剤は、日本では腸管洗浄剤(モビプレップ他)としては臨床使用されているものの、慢性便秘症の適応を有する薬剤がなかったため開発された薬剤です。(モビコール配合内用剤 インタビューフォーム )

適応の違いは?
マグコロールPの適応症
「大腸検査(X線・内視鏡)前処置における腸管内容物の排除」「腹部外科手術時における前処置用下剤」

モビプレップ
「大腸内視鏡検査、大腸手術時の前処置における腸管内容 物の排除」

モビコール配合内容剤
「慢性便秘症」

 

成分の違いは?
モビプレップ
大室(A剤)
塩化ナトリウム 5.382 g
塩化カリウム 2.03 g
無水硫酸ナトリウム 15.0 g
マクロゴール4000 200.0 g

小室(B剤)
アスコルビン酸 9.4 g
L-アスコルビン酸ナトリウム 11.8 g

 

ニフレック (成分1袋(137.155g)中)
塩化ナトリウム 2.93 g
塩化カリウム 1.485 g
炭酸水素ナトリウム 3.37 g
無水硫酸ナトリウム 11.37 g

モビコール (成分 1包(6.8523g)中))
マクロゴール4000 6.5625g
塩化ナトリウム 0.1754g
炭酸水素ナトリウム 0.0893g
塩化カリウム 0.0251g

 

腎機能低下患者
モビプレップ

慎重投与
腎機能障害のある患者[体液/電解質異常を起こすおそれがある。]

ニフレック配合内用剤
慎重投与

腎機能障害を有する患者[まれに嘔吐があらわれることがある。]

初回申請時の臨床試験において、腎機能障害を有する患者に本剤が投与されたのは、総症例1,072例中7例(0.65%)であった。このうち本剤投与終了後1例に軽度の嘔吐が発現したが、その後軽快した。また、いずれの症例においても臨床検査値異常は認められておらず、本剤の投与が腎機能障害を有する患者に重大な影響をもたらすとは考えにくいが、嘔吐の発現については注意が必要である。

マグコロールP
禁忌

腎障害のある患者〔吸収されたマグネシウムの排泄が遅延し、血中マグネシウム濃度が上昇するおそれがある。また、多量の水分摂取は腎機能に負荷となり、症状を増悪するおそれがある。〕

マグコロールP投与によるマグネシウムの吸収と排泄
大腸内視鏡検査を受ける患者34例に、本剤の等張液1,800~2,400mL(クエン酸マグネシウムとして68~90g)を単回投与した時の血清マグネシウム値の変化並びに尿中マグネシウム量の変化と、年齢および腎機能との関係について検討した。
血清マグネシウム値の変化
血清解析対象例34例の投与3時間後の血清マグネシウム濃度は、34例中32例に0.1~0.4mg/dLの上昇を認め、そのうち3例が2.7mg/dLまで上昇し基準値上限(2.6mg/dL)を越えた変動であった。投与前後における対応のあるt検定では有意な差が認められた(P<0.01)。

(参考 各薬剤インタビューフォーム)

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