【A】インタビューフオームの記載から、トランサミン (成分名:トラネキサム酸)はリクシアナ (成分名: エドキサバン)によって延長した出血時間及びPTには影響を与えないと考えられます。
エドキサバンにより惹起された出血に及ぼすトラネキサム酸の影響
ラット(各群10例)にエドキサバントシル酸塩水和物の0.3mg/kg を単回静脈内投与し、投与3 分後からトラネキサム酸の0、100mg/kg を2 分間かけて単回静脈内投与した。エドキサバントシル酸塩水和物投与8 分後に、右後肢足底に長さ5mm の切創を作成して出血を惹起し、出血時間を測定した。また、トラネキサム酸投与終了直後に血液を採取し、PTを測定した。その結果、エドキサバントシル酸塩水和物は出血時間及びPTを有意に延長した。トラネキサム酸はエドキサバントシル酸塩水和物によって延長した出血時間及びPTに影響を与えなかった。
(第一三共株式会社 リクシアナ錠15mg,30mg,60mg,OD錠15mg,OD錠30mg,OD錠60mg医薬品インタビューフォーム)
以下の報告より、トランサミン (トラネキサム酸)を服薬することにより、心筋梗塞、脳梗塞などの血栓症が増加する可能性があります。
外国ではトラネキサム酸は血栓と脳虚血の合併症の頻度を増大させるとの報告があるが、いずれも限られた数の臨床報告であり、また、血栓を形成しないとの報告もあり、現段階で結論はでていない。しかし、トラネキサム酸の動物実験において、生成した血栓を安定化させることが示されたため使用上の注意に記載がある。
(第一三共株式会社トランサミン錠250mg,500mg,カプセル250mg,散50%,シロップ5% インタビューフォーム)
トラネキサム酸の血栓形成が疑われる症例報告は?
日本においてトラネキサム酸を使用することにより心筋梗塞、脳梗塞などの血栓症が誘発された症例報告があります。
(心臓 45: 872-873, 2013) (JJAAM14: 748-752, 2003)
よってリクシアナの抗凝固作用にトランサミンは影響を及ぼさないが、トランサミン使用することにより心筋梗塞、脳梗塞などの血栓症が増加する可能性があります。