【Q】「深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症」に対して、イグザレルトやエリキュースには高用量開始であるがリクシアナには記載がない理由は?

【A】リクシアナは、「深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症」の患者に対しては、急性期の適切な初期治療(未分画ヘパリンやアリクストラ皮下注)後に開始する必要があるためです。

DOAC発売前は、「深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症」の治療にはワーファリンが使用されていました。ワーファリンは治療域に達するまで4〜5日間がかかることから、未分画ヘパリンやアリクストラ皮下注を投与後、治療域に達した後にワーファリンを開始していました。

一方で、新規発売されたイグザレルトやエリキュースは最高血中濃度到達時間 (Tmax) が短く、即効性があるため、ヘパリンなどの投与なしで、高用量の初期投与から開始可能となりました。

リクシアナも同様に最高血中濃度到達時間 (Tmax) が短く、即効性がありますが、ヘパリンなどが投与された後のみの臨床試験であったため、急性期治療であるヘパリンなどから本剤へ切り替える用法のみになりました。即効性が期待できることから、ヘパリンからの切り替えが必要か否かは患者の状態を考慮して判断する必要があります。

 

DOACのTmax (最高血中濃度到達時間)

・イグザレルト(リバーロキサバン)  Tmax 2〜4時間

・エリキュース (アピキサバン)  Tmax 1〜3時間

・リクシアナ (エドキサバン) Tmax 1〜2時間

(日医大医会誌 14(3), 2018)

 

イグザレルト錠
〈深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症の治療及び再発抑制〉
通常、成人には深部静脈血栓症又は肺血栓塞栓症発症後の初期3週間はリバーロキサバンとして15mgを1日2回食後に経口投与し、その後は15mgを1日1回食後に経口投与する。

 

エリキュース錠
〈静脈血栓塞栓症 (深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症) の治療及び再発抑制〉
通常、成人にはアピキサバンとして1回10mgを1日2回、7日間経口投与した後、1回5mgを1日2回経口投与する

 

リクシアナ錠
〈静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制〉
通常、成人には、エドキサバンとして以下の用量を1日1回経口投与する。
体重60kg以下:30mg
体重60kg超:60mg なお、腎機能、併用薬に応じて1日1回30mgに減量する。

本剤は急性期への適切な初期治療(ヘパリン投与等)がなされた後に投与すること。

(各社 添付文書)

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