4種のDOACの違いのまとめ
- 標的因子:ダビガトランのみトロンビン(トロンビン阻害薬)、その他は第Xa因子(Xa阻害薬)。
- 中和剤:ダビガトランのみ存在(イダルシズマブ)
- 剤型:リバーロキサバンのみ細粒あり。エドキサバンのみOD錠あり。
- 薬物動態:ダビガトランのみグルクロン酸抱合による代謝を受ける。その他は主にCYP3A4。
- 併用禁忌:アピキサバンとエドキサバンはなし。ダビガトランはイトラコナゾールのみ。リバーロキサバンは、HIVプロテアーゼ阻害剤、コビシスタット含有製剤、イトラコナゾール、ボリコナゾール、ケトコナゾール。
- その他:リバーロキサバンは人種によって血中濃度に変動が認められる。半減期は4剤とも短い(8 ~ 14 時間)
※トロンビン阻害薬‥トロンビンの活性部位に選択的に結合することで、トロンビンを阻害する、トロンビン産生速度を低下させる
※Xa阻害薬‥プロトロンビナーゼ複合体を阻害し、トロンビン生成速度および産生総量を低下させる
以下、各薬剤のまとめ。
プラザキサ(一般名 : ダビガトラン)
【規格】75 mg/110 mg
【用法用量】1 日 2 回服用
【腎機能】通常用量CrCL≧ 50 mL/min、禁忌<30 mL/min 大部分が腎臓を介して排出されるため,腎障害が ある場合は減量・中止
【作用機序】トロンビ ン阻害薬
【代謝】グルクロン酸抱合
【製剤学的特性】カプセル剤のため粉砕ができない
【併用禁忌薬】イトラコナゾール
【その他】腎機能障害患者に対する死亡例によりブルーレター発出あり。特異的中和剤(プリズバインド®静注液2.5g 〈一般名:イダルシズマブ))が発売されている
イグザレルト(一般名 : リバーロキサバン)
【規格】10 mg/15 mg
【用法用量】1 日 1 回服用
【腎機能】通常用量CrCL≧ 50 mL/min , 禁忌<15 mL/min
【作用機序】Xa 阻害薬
【代謝】CYP3A4
【製剤学的特性】細粒製剤(イグザレルト細粒分包)あり。錠剤の粉砕後の3ヶ月の安定性は確認されている。(錠剤・カプセルハンドブック)
【併用禁忌薬】HIVプロテアーゼ阻害剤(リトナビル、ロピナビル・リトナビル、アタザナビル、インジナビル、サキナビル、ダルナビル、ホスアンプレナビル、ネルフィナビル)、オムビタスビル・パリタプレビル・リトナビル
コビシスタット
アゾール系抗真菌剤(イトラコナゾール、ボリコナゾール、ミコナゾール、ケトコナゾール)
【その他】日本人では 15 mg の低用量。人種によって血中濃度に変動がみられる。(Drug Metab. Pharmacokinet. 28 : 59–70, 2013)
エリキュース(一般名 : アピキサバン)
【規格】2.5 mg/5 mg
【用法用量】1 日 2 回服用
【腎機能】通常用量 Cr<1.5 mg/dL 禁忌<15 mL/min
【代謝】CYP3A4
【作用機序】Xa 阻害薬
【製剤学的特性】錠剤の粉砕はデータなし。用時粉砕が望ましい。(錠剤・カプセルハンドブック)
【併用禁忌薬】なし
【その他】年 齢・腎機能・体重に応じて減量基準が明確に決まって いる
リクシアナ(一般名 : エドキサバン)
【規格】15 mg/30 mg/60 mg
【用法用量】1 日 1 回服用
【腎機能】通常用量CrCL≧ 50 mL/min 禁忌<15 mL/min
【代謝】CYP3A4
【作用機序】Xa 阻害薬
【併用禁忌薬】なし
【製剤学的特性】OD錠あり 錠剤粉砕後、3ヶ月安定。(錠剤・カプセルハンドブック)
(参考 :Drug Metab. Pharmacokinet. 28 : 59–70, 2013 、日医大医会誌 14 : 113-120, 2018)