【A】少なくとも3ヶ月間は継続する必要がありますが、DVT (深部静脈血栓症) の再発リスクやDOAC (抗凝固療法)の出血リスク、危険因子などを考慮して、個々に継続期間を決定する必要があります。Dダイマーの正常化が、DOACの中止の目安の一つとなります。危険因子については以下に示します。
・DVTの再発は、中枢型DVT(腸骨大腿静脈に血栓)においては抗凝固療法下にて3ヶ月間で5〜7%、多くは抗凝固療法中止後に生じてくる。抗凝固療法を行わない場合はさらに高率で、約30%で再発する。
・抗凝固療法は、少なくとも3ヶ月間の継続が必要であるが、その後は患者の危険因子の性状を考慮して投与期間を設定する。抗凝固療法の終了にはDダイマーの正常化が参考となる。
(肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断,治療,予防に関するガイドライン(2017年改訂版) 一部改変)
危険因子 (再発リスク)
・がん患者 ‥活動性癌患者はVTE再発リスクが非癌患者に比して約3倍高い。癌が治癒もしくは活動性でなければVTEリスクは低下する。
・再発率はPTE (肺血栓塞栓症)、中枢型DVT(腸骨大腿静脈に血栓)、末梢型DVT (下腿静脈の血栓)の順で多い。末梢型は再発率が中枢型の約半分。
・再発例は初発例に比べて再発リスクが1.5倍高い。
・抗凝固療法中止後1ヶ月のDダイマー高値では再発リスクが1.5〜2.5倍になる。
・男性の再発率が1.5〜1.8倍と女性より高い
・10歳ずつ高齢になるにつれて、再発リスクが徐々に上昇する。65歳以上の高齢者の再発リスクは2.1倍
(参考 : 肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断,治療,予防に関するガイドライン(2017年改訂版))