【Q】プラビックス (クロピドグレル) とPPIの併用は?

【A】プラビックス (クロピドグレル) は上部消化管出血のリスクがあるため、PPI (プロトンポンプ阻害薬) などの併用が推奨される。しかし、クロピドグレルはCYP2C19により代謝されて活性化するため、PPIとの相互作用 (CYP2C19) によりクロピドグレルの作用が減弱する可能性がある。
そのため、PPIとの併用については臨床現場での判断となる。

以下詳細を記載する。

・クロピドグレルはCYP2C19で代謝される。CYP2C19を阻害するオメプラゾールとは併用注意となっている。 (プラビックス 添付文書より)
・FDA (アメリカ食品医薬品局) もクロピドグレルとオメプラゾールの併用回避を推奨している。
・クロピドグレルとオメプラゾールを併用しても心血管イベントは有意な差がなく、上部消化管出血を有意に低下させたと報告がある。(N Engl J Med)
・PPIは主に代謝CYP2C19で代謝されるが、エソメプラゾールは代謝におけるCYP2C19の寄与率はオメプラゾールよりも小さく、CYP2C19遺伝子型による薬物動態及び薬力学的作用の個体間変動は小さいとされている。
・クロピドグレル単独投与における上部消化管出血のOdds比は2.3 (95% 信頼区間:0.9-6.0)と報告がある。
(Upper gastrointestinal bleeding associated with antiplatelet drugs. Aliment Pharmacol Ther. 2006 Jan 15;23(2):235-42.)

・クロピドグレルによる上部消化管出血のOdds比は2.1(95% 信頼区間:1.5-2.9)。しかし、そのOdds比はPPI の併用投与により0.9(95% 信頼区間:0.4-2.3)にまで減少する。
(Upper gastrointestinal bleeding associated with antiplatelet drugs. Aliment Pharmacol Ther. 2006 Jan 15;23(2):235-42.)

 

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