【Q】ピロリ菌除菌を行う患者に対するベルソムラ錠の中止期間は?

【A】以下の、②の理由により理論上、『ベルソムラ』最終服用の翌朝から『クラリス』の服用を開始すると、それ以後の『ベルソムラ』の代謝遅延は生じます。しかし『ベルソムラ』の血漿中濃度が『クラリス』開始前値より上昇することはないため、実臨床上では翌日から開始しても問題ないと考えられます。『クラリス』服用開始後は『ベルソムラ』の服用は行わないように注意が必要です。

 

①単回投与時→半減期約10時間
単回投与(日本人データ)
日本人健康成人(12 例)に、本剤40 mg を空腹時単回経口投与した後のスボレキサントは速やかに吸収され、投与後1.5 時間(1.0~3.0 時間)で最高血漿中濃度(Cmax)に達し、平均半減期(t1/2)は10.0 時間であった
(MSD 株式会社 ベルソムラ錠10mg,15mg,20mg インタビューフォーム)

 

②反復投与時→半減期約8〜9時間(日本の添付文書における投与量は20mg/日まで)
反復投与(外国人データ)
外国人健康男性(30 例)に、本剤10~100 mg を1 日1 回14 日間反復投与(就寝前・空腹時)したとき、3 日目までに定常状態に到達し、本剤40 mg の平均t1/2(約12 時間、95 %信頼区間:12.0~13.1 時間)から予想される値と一致した。
・10mg投与の場合は半減期8.1時間
・20mg投与の場合は半減期9.2時間
(MSD 株式会社 ベルソムラ錠10mg,15mg,20mg インタビューフォーム)

→半減期の4〜5倍が体内からの消失時間と考えると半減期が10時間であれば、消失まで約40時間から50時間必要となります。また、ベルソムラはCYP3A4に対する不可逆的な阻害作用はありません。不可逆な阻害に関する考察は必要ありません。

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