【Q】エビリファイは糖尿病患者に使用可能か?

【A】エビリファイは糖尿病患者において禁忌となっていないが、有益性が上回る時のみ使用できると警告に記載されている。

エビリファイは他の抗精神病薬であるセロクエルやジプレキサとは異なり、糖尿病患者において禁忌ではないが、血糖値の測定や症状の観察等を十分に行い、慎重に投与する必要がある。

警告に記載された経緯を確認すると、エビリファイを除く非定型抗精神病薬の投与患者で高血糖に関連する有害事象発現のリスクが高まると報告されている。エビリファイがリスク上昇に関連するかは不明であるが、類薬が同様の内容を記載しているため、エビリファイも同様に警告として記載されていると解釈できる。
(エビリファイ錠 インタビューフォーム)

 

警告
糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡等の死亡に至ることもある重大な副作用が発現するおそれがあるので、本剤投与中は高血糖の徴候・症状に注意すること。特に、糖尿病又はその既往歴もしくはその危険因子を有する患者には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ投与することとし、投与にあたっては、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと。

投与にあたっては、あらかじめ上記副作用が発現する場合があることを、患者及びその家族に十分に説明し、口渇、多飲、多尿、頻尿、多食、脱力感等の異常に注意し、このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中断し、医師の診察を受けるよう、指導すること。(「慎重投与 4.」の項、「重要な基本的注意 4.、6.」の項及び「副作用 重大な副作用 6.糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡」の項参照)
(エビリファイ錠 インタビューフォーム)

 

統合失調症承認時までの国内臨床試験において、副作用として糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡の報告はありませんが、国内及び外国において市販後自発報告(頻度不明)があります。また、統合失調症承認時までの国内臨床試験、双極性障害における躁症状の改善の効能追加承認時までの国内臨床試験及び国際共同試験、うつ病・うつ状態の効能追加承認時までの国内臨床試験、小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性の効能追加承認時までの国内臨床試験において、副作用として糖尿病が2/1,490例(0.13%)[統合失調症承認時1/743例、うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)承認時1/467例]認められました。

(解説)
国内及び外国において糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡を伴う顕著な症例が市販後自発報告として報告され、外国においては死亡に至る症例も報告されています。また、米国で実施された複数の薬剤疫学的調査(本剤は含まれない)では、調査の対象となった非定型抗精神病薬の投与患者において、高血糖に関連する有害事象発現のリスクが高まることが示唆されています。しかし、統合失調症患者においては糖尿病の発現リスクが増加している可能性もあることから、非定型抗精神病薬の使用と高血糖に関連する有害事象との関係は完全には解明されていません。本剤はこれらの調査の実施時には販売されておらず、本剤がこのリスク上昇に関連するかは不明です。現時点で非定型抗精神病薬の投与患者における高血糖に関連する有害事象が発現する正確なリスク評価は得られていませんが、海外での使用上の注意の記載並びに日本においては類薬が厚生労働省医薬局安全対策課長通知(平成14年4月16日付 医薬安発第0416001号、平成14年11月7日付 医薬安発第1107001号)に基づき記載している状況等に鑑み、本剤においても警告の項を設け注意を喚起することとしました。なお、本剤は統合失調症承認時までの国内臨床試験において、副作用として糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡の報告はありませんが、国内及び外国において市販後自発報告(頻度不明)があります。また、統合失調症承認時までの国内臨床試験、双極性障害における躁症状の改善の効能追加承認時までの国内臨床試験及び国際共同試験、うつ病・うつ状態の効能追加承認時までの国内臨床試験、小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性の効能追加承認時までの国内臨床試験において、副作用として糖尿病が2/1,490例(0.13%)[統合失調症承認時1/743例、うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)承認時1/467例]認められました。

特に、糖尿病又はその既往歴もしくは糖尿病の家族歴、高血糖、肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ投与し、血糖値の測定や症状の観察等を十分に行い、慎重に投与してください。
(エビリファイ錠 インタビューフォーム)

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