【Q】市販薬において疾患禁忌となる成分は?

【質問】市販薬の相互作用についてです。高血圧、糖尿病の方は医師、薬剤師に相談すること。などの注意書きはほとんどの市販薬に記載されているかと思いますが、状態が安定していて、2日3日程度の短期使用であれば使用できるケースも少なくないかと思います。絶対的に疾患禁忌となる成分はあるのでしょうか?

【A】一般用医薬品は「医薬品のうち、その効能及び効果において人体に対する作用が著しくないものであって、薬剤師その他の医薬関係者から提供された情報に基づく需要者の選択により使用されることが目的とされているもの」と定義されており、薬剤師その他の医薬関係者が情報提供を行うことが前提とされています。

 また、一般用医薬品の添付文書は、医療従事者のみが理解できる専門用語ではなく、使用者が理解し易い表現が用いられており、「必要に応じて医師、薬剤師等に相談すること」などと併記されていることがあります。そのため、一般用医薬品と医療用医薬品では、同成分であっても、記載内容が異なる可能性があります。例えば、医療用で「禁忌」とされている「排尿困難」「心臓病」「緑内障」は、OTC医薬品では具体的な記載はなく「医師、薬剤師等に相談すること」となっていることがあります。
医療用医薬品で禁忌となっている成分であれば、一般用医薬品においても、基本的には禁忌と考えられ、適切な情報提供が必要と考えられます。。

 

ディレグラ配合錠 添付文書

プソイドエフェドリン塩酸塩

禁忌(次の患者には投与しないこと)
・本剤の成分及び塩酸プソイドエフェドリンと化学構造が類似する化合物(エフェドリン塩酸塩又はメチルエフェドリン塩酸塩を含有する製剤)に対し過敏症の既往歴のある患者
・重症の高血圧の患者[症状が悪化するおそれがある。]
・重症の冠動脈疾患の患者[症状が悪化するおそれがある。]
・閉塞隅角緑内障の患者[症状が悪化するおそれがある。]
・尿閉のある患者[症状が悪化するおそれがある。]
・交感神経刺激薬による不眠、めまい、脱力、振戦、不整脈等の既往歴のある患者[塩酸プソイドエフェドリンの交感神経刺激作用が強くあらわれるおそれがある。]

慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
・糖尿病の患者[血糖値が上昇するおそれがある。]
・高血圧の患者[血圧が上昇するおそれがある。]
・虚血性心疾患の患者[虚血性心疾患が悪化するおそれがある。]
・眼圧上昇のある患者[眼圧が上昇するおそれがある。]
・甲状腺機能亢進症の患者[交感神経刺激作用が増強するおそれがある。]
・前立腺肥大のある患者[排尿困難が悪化するおそれがある。]
・腎機能障害のある患者[<用法及び用量に関連する使用上の注意>の項参照]

 

OTC医薬品   エスタック鼻炎カプセル12
(プソイドエフェドリン塩酸塩120mg / ベラドンナ総アルカロイド0.4mg / クロルフェニラミンマレイン酸塩8mg / サイシン乾燥エキス40mg(細辛400mg) / 無水カフェイン100mg)

してはいけないこと
次の人は服用しないでください
(1)本剤又は本剤の成分によりアレルギー症状を起こしたことがある人。
(2)次の症状のある人。 前立腺肥大による排尿困難
(3)次の診断を受けた人。 高血圧、心臓病、甲状腺機能障害、糖尿病

相談すること
次の人は服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください
(1)医師の治療を受けている人。
(2)妊婦又は妊娠していると思われる人。
(3)授乳中の人。
(4)高齢者。
(5)薬などによりアレルギー症状を起こしたことがある人。
(6)かぜ薬、鎮咳去痰薬、鼻炎用内服薬等により、不眠、めまい、脱力感、震え、動悸を起こしたことがある人。
(7)次の症状のある人。 高熱、排尿困難 (8)次の診断を受けた人。 緑内障、腎臓病 (9)モノアミン酸化酵素阻害剤(セレギリン塩酸塩等)で治療を受けている人。

→医療用医薬品の禁忌部分は、一般用医薬品では【してはいけないこと】に該当しています。

 

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