【質問】フェントステープはオピオイド導入の適応はありませんが、末期で在宅へ移行した患者さんでは導入から使用されるケースを目にします。よくあること (黙認されている?) なのでしょうか?また、こういったケースでは疑義照会は必要でしょうか?
【A】以下の回答は主観的な考えに基づいて回答しております。適応外使用を推奨しているわけではないのでご了承ください。
末期で移行された経口摂取が困難な患者に対して、強オピオイドを早急に導入したい場合は、フェントステープから開始となる事例は少なくないと思います。
経口摂取ができないのであればノルスパンテープから切り替えることが選択肢の一つかと思いますが、ノルスパンテープは”がん性疼痛“には適応が通ってないので、がん末期の場合は適応外使用になってしまいます。
私見ですが、これまでに、「1回分だけオキノーム散を処方し、内服困難であることを確認してからフェントス開始」というケースを経験したことがあります。また、フェントステープから開始して保険審査が通らなかったというのは聞いたことはないため、保険審査側も柔軟な対応をしてくれる可能性があります。
2018年より、がん疼痛患者で他のオピオイド 鎮痛剤を使用していない場合でも、フェントステープ0.5mgから開始できるように適応拡大されましたので上記のような事例で困ることは少なくなるかと思います。
〈がん疼痛〉
本剤貼付前にオピオイド鎮痛剤を使用していない場合、 0.5mgより開始する。 他のオピオイド鎮痛剤から本剤に切り替えて使用する場 合、本剤貼付前に使用していたオピオイド鎮痛剤の用法及 び用量を勘案して、0.5mg、1mg、2mg、4mg、6mgのいずれ かの用量を選択する。〈慢性疼痛〉
他のオピオイド鎮痛剤から本剤に切り替えて使用する。 本剤貼付前に使用していたオピオイド鎮痛剤の用法及び 用量を勘案して、0.5mg、1mg、2mg、4mg、6mgのいずれか の用量を選択する。
(フェントステープ 添付文書)
また、疑義照会については必要と考えます。
フェントステープ(現在は1mg以上での)からのオピオイド導入が保険適応外であることを十分に周知されていない可能性があるため、経口摂取が困難な患者であることを確認して、その旨をカルテに記載しておくべきだと考えます。
また、フェントステープから開始する場合、注視すべき副作用は呼吸抑制ですので、同居の家族や訪問看護師に呼吸数の確認をしていただくよう依頼・指導することも必須と考えます。