ジクトルテープは疼痛部分に鎮痛部位に直接貼る必要はないか?

【Q】ジクトルテープは、使用部位が「胸部、腹部、上腕部、背部、腰部又は大腿部に貼付し」とあり、一方で他の経皮吸収型消炎鎮痛剤では「患部に貼付」とあるが何故か。ジクトルテープの作用は貼付部位のみならず全身的な作用があると考えるべきか。指導する際は、鎮痛部位に直接貼る必要はないか。

【A】ジクトルテープは全身作用型の貼付剤であり、疼痛部位に直接貼る必要はありません。

ジクトルテープは経皮的に吸収され、全身循環血を介して鎮痛効果を発揮するテープ剤である。がん疼痛以外の疼痛疾患においても、全身性NSAIDs製剤の新たな投与経路として治療の選択肢を広げる製剤であると考え、 腰痛症等の適応取得を目指し、開発に着手した。(ジクトルテープ インビューフォーム)

・同成分の既存薬にボルタレンテープがありますが、局所作用のため、用法は「患部に貼付する」となっています。ジクトルテープは局所作用型のボルタレンテープの有効成分を5倍に増量させたものです。ジクトルテープはボルタレンテープの有効成分の含有量を5倍にし、血中に移行する量を増加させて、全身作用型製剤に改良されました。

・ジクトルテープ75mgの3枚貼付は、同成分の経口薬である「ボルタレン錠25mg 4錠/日」とAUCが同程度になることから、「各種がんにおける鎮痛」に使用する場合、ジクトルテープの1日の上限量は1日3枚まで」と設定されています。

・発売時は「各種がんにおける鎮痛」のみの適用でしたが、20226月に「腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群及び腱鞘炎における鎮痛・消炎」の適用が追加されました。

・ジクトルテープはモーラステープやロキソニンテープではなく、ノルスパンテープやフェントステープのような全身作用型の薬剤といえます。

 以下に各製剤の用法を記載します。

①モーラステープやロキソニンテープ
用法及び用量  1日1回患部に貼付する。

②ロコアテープ
用法及び用量  1日1回、患部に貼付する。同時に2枚を超えて貼付しないこと。

 

③ジクトルテープ
各種がんにおける鎮痛>
通常、成人に対し、1日1回、2枚(ジクロフェナクナトリウムとして150mg)を胸部、腹部、上腕部、背部、腰部又は大腿部に貼付し、1日(約24時間)毎に貼り替える。なお、症状や状態により1日3枚(ジクロフェナクナトリウムとして225mg)に増量できる。
<腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群及び腱鞘炎における鎮痛・消炎>
通常、成人に対し、1日1回、1枚(ジクロフェナクナトリウムとして75mg)又は2枚(ジクロフェナクナトリウムとして150mg)を胸部、腹部、上腕部、背部、腰部又は大腿部に貼付し、1日(約24時間)毎に貼り替える。

④ノルスパンテープ
通常、成人に対し、前胸部、上背部、上腕外部又は側胸部に貼付し、7日毎に貼り替えて使用する。
⑤フェントステープ
通常、成人に対し胸部、腹部、上腕部、大腿部等に貼付し、1日(約24時間)毎に貼り替えて使用する。
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