【Q】ケイキサレートとカリメートはどのような違いがあるのか。用量依存的なK低下効果が得られるのか知りたい。

【A】両薬剤ともポリスチレンスルホン酸であるが、ケイキサレートの成分はNa塩、カリメート の成分はCa塩である。

  • ケイキサレート‥ポリスチレンスルホン酸ナトリウム
  • カリメート ‥ポリスチレンスルホン酸カルシウム

• 陽イオン交換樹脂は便秘に注意が必要であるが、カリメート散の方がケイキサレート散よりも便秘は多い。  (便秘の副作用 : カリメート 9.2%、ケイキサレート1.9%)

• 下痢の副作用はケイキサレートが3.2%と多い。

•カリメートのK低下以外の電解質変動がケイキサレートよりも少ない。ケイキサレートは低カルシウム血症 (1.7%)などの副作用が報告されている。

•ケイキサレートは1g当たり1mEqのカリウムと交換し、カリメートは1gあたり1.64mEqのカリウムと交換する、カリウム交換能力はほぼ同等であると考えられる。ケイキサレートはカリウム以外の陽イオンとも結合するため、K以外の電解質変動が多いと考えられる。

 

カリメートドライシロップ
本剤は試験管内においてポリスチレンスルホン酸カルシウム1gあたり平均すると64.2mg(1.64mEq)のカリウムと交換した。

カリメート散
日局ポリスチレンスルホン酸カルシウム乾燥物1gは7.0~9.0%のカルシウムを含み、カリウム標準原液(5.00mg/mL)において、53~71mg(1.36~1.82mEq)のカリウムと交換する。

ケイキサレート散、ドライシロップ
ポリスチレンスルホン酸ナトリウムのカリウム交換容量を 測定すると、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム1g当り 2.81~3.45mEqのカリウムと交換する。体内ではアンモニア、マグネシウム、有機酸、燐脂蛋白などの他の陽イオンとも結合するためポリスチレンスルホン酸ナトリウム1g当り約1mEqのカリウムと交換する。

 

以下の結果より、ケイキサレートとカリメートは両薬剤とも用量依存的なK低下作用があると考えられる。

用量反応性に関する検討 
慢性腎不全に伴う高カリウム血症 (血清カリウム値5.0mEq/L以上) の患者23例に対し、アーガメイト 20%ゼリー25g 1個/日(PS-Caとして5g) を1ヵ月間投与し、続く1ヵ月間は2個/日(PS-Caとして10g)、 次の 1 ヵ月間は3個/日 (PS-Ca として 15g) に増量した。開始時に対し、血清カリウム低下量はアーガメ イト 20%ゼリー25g 1 個/日投与時 0.67mEq/L、2 個/日投与時 1.06mEq/L、3 個/日投与時 1.33mEq/L とそ れぞれ有意に低下し(p<0.001)、用量依存的であった
(ケイキサレート散、ケイキサレートドライシロップ インタビューフォーム)

 

全腎摘出ラットにおける血清カリウム値上昇抑制効果
体重 400g 前後、腎摘出を行った Wistar 系雄性ラット(n=8)に対してポリスチレンスルホン酸 カルシウム(Ca 型レジン)及び Na 型レジンを毎回 10mL/kg の液量により 0.5、1.0、2.0g/kg (1.5g/kg/day、3.0g/kg/day、6.0g/kg/day) を経口ゾンデにて 2 日間、5 回投与した。3 日目にペン トバルビタール麻酔下、頚動脈より採血した。対照群には腎摘出後蒸留水を投与したものをおき、 さらに腎摘出を行わず、試験薬を全く投与しない群を無処置対照とした。その結果、血清カリウ ム値は腎摘出によって明らかな上昇が認められた。Ca 型レジンの投与により血清カリウム値が 低下し、その下降は用量反応関係を示し、3.0g/kg/day 群(p<0.05)及び 6.0g/kg/day 群(p<0.01) で有意な減少を示した。他の電解質に及ぼす影響については、腎摘出対照群と比較して Ca 型レ ジン投与群では有意差は認められなかった。
(カリメート散、カリメートドライシロップ、カリメート経口液 インビューフォーム)

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