【A】ランタスXR注はランタス注の濃度を3倍にした製剤で、ランタス注を改良した製剤と位置付けされています。濃度を高くすることで注射液量が少なく、薬液の皮下での沈殿物が濃縮されており、表面積が小さいためにゆっくりと放出されます。その結果、投与部位からの吸収がより穏やかになるため、インスリンの血中濃度が安定し、血糖値がピークのない平坦な推移を認めることが報告されています。吸収が穏やかであるため、より安定した血糖コントロールができます。
なお、空打ちの際の排出量は従来に比べ少ないため、3単位で設定されています。
ランタス注→ランタスXRへの切り替え方法について
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インスリングラルギン100単位/mL製剤から本剤に変更する場合:通常初期用量は、前治療のインスリングラルギン100単位/mL製剤の1日投与量と同単位を目安として投与を開始する。(ランタスXR注ソロスター 添付文書)
→ランタス注からランタスXRへの切り替えは同じ単位で問題ないとされています。ただし以下の記載があり、薬物動態が異なるため、完全に同等の効果を示すわけではないと考えられます。
インスリン グラルギン100単位/mL製剤以外の基礎インスリン製剤から本剤に変更する場合:
(1) 1日1回投与の基礎インスリン製剤から本剤に変更する場合、通常初期用量は、前治療の中間型又は持効型インスリン製剤の1日投与量と同単位を目安として投与を開始する。
(2) 1日2回投与の基礎インスリン製剤から本剤に変更する場合、通常初期用量は、前治療の中間型又は持効型インスリン製剤の1日投与量の80%を目安として投与を開始する。
(3) 併用している速効型インスリン製剤、超速効型インスリンアナログ製剤又は他の糖尿病用薬の投与量及び投与スケジュールの調整が必要となることがあるので注意すること。(ランタスXR注ソロスター 添付文書)
インスリングラルギン100単位/mL製剤又は他の基礎インスリン製剤から本剤への切り替え時に、血糖値の上昇がみられることがあるので留意すること。(ランタスXR注ソロスター 添付文書)
→「1日1回の中間型又は持効型インスリン製剤」からランタスXRへの切り替えは同単位数となりますが、血糖の上昇に注意が必要であると記載されています。つまり、効果が不十分となることがあると言えます。
逆に
本剤から他の基礎インスリン製剤への切り替え時には、本剤の1日投与量よりも低用量での切り替えを考慮するとともに、切り替え時及びその後しばらくの間は血糖モニタリングを慎重に行うこと。(ランタスXR注ソロスター 添付文書)
本剤とインスリン グラルギン100単位/mL製剤では薬物動態が異なる。本剤から他の基礎インスリン製剤への切り替え時に低血糖の発現が増加した。(ランタスXR注ソロスター 添付文書)
→ランタスXRから他のインスリンに変更する際には低血糖症状に注意が必要と記載されています。