【質問】逆流性食道炎の維持療法中の患者に対して、ピロリ菌一次除菌で「タケキャブ・サワシリン・クラリス」の併用7日間の処方が出された。この処方と同時に、8日目からは「タケキャブ」単独、除菌判定の日の数週間前からは「ガスター」単独となる処方が出された。除菌判定にPPIの服用は影響があるのか。
【A】PPIは偽陰性の防止のために、除菌判定前に2週間以上の休薬が必要と考えられます。また、H2遮断薬も、尿素呼気検査の1週間前から2週間前に中止するべきと報告がありますが、まだ、議論の段階と考えられます。
除菌判定前にPPIが使用されていると、30-40%に偽陰性になることが知られています。そのため、除菌判定前には一定期間のPPI休薬が必要です。保険適用上は、当初はPPIを4週間以上休薬が必要とされていましたが、現在では2週間の休薬が求められています。
(日本消化器病学会 「ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎」に対する除菌治療に関するQ&A)
→PPIは偽陰性のリスクを低下させるために、2週間以上の休薬が必要と考えらえます。
ウレアーゼ活性に影響を与える薬剤は
・抗生物質などの抗菌薬
・PPI ‥H. pyloriに対して抗菌活性を有しているため
・一部の防御因子増強薬 エカベトナトリウムなど ‥抗ウレアーゼ活性があるため
・新しい酸分泌抑制薬P-CAB(ボノプラザン)‥抗菌薬活性はないとされていますが、ウレアーゼ活性を阻害し尿素呼気試験に影響する
(日本ヘリコバクター・ピロリ学会 H. pylori感染の診断と治療のガイド)
→日本ヘリコバクター・ピロリ学会によると、ウレアーゼ活性に影響を与える薬剤の中にH2遮断薬は含まれていません。
ラニチジンが投与量に関係なく、尿素呼気検査の偽陰性となる可能性があると報告されています。検査の1週間前に中止するので十分という報告(Aliment Pharmacol Ther. 14 : 291-297, 2000と、2週間前に中止するので十分(Am J Gastroenterol. 96 : 348-352, 2001)という報告に分かれています。
また、他にもファモチジンがウレアーゼ活性を低下させる効果があると報告されています。(Helicobacter. 9 : 17-27, 2004)
→これらの報告から、ラニチジンやファモチジンなどで尿素呼気検査の偽陰性となる可能性があると示唆されています。ただし、この報告は症例数が少ないため、まだ議論の段階かと考えられます。