【Q】 呼吸困難に対するオピオイドの使用について

【質問】上記について、国内外のガイドラインで効果が確認されているものの、保険適応外であるためオピオイドが使用できない場面がありました。非担癌患者においては、どのような場合においてもオピオイドは使用できないのでしょうか。また、呼吸困難の方において、オピオイドの代替薬はあるのでしょうか

【A】緩和ケア領域において苦痛を伴う呼吸困難感には、モルヒネが最も効果が期待できる薬剤の一つですが、適用が通っていないのが現状です。

モルヒネ塩酸塩 (オプソ内服液、塩酸モルヒネ注射液、アンペック坐剤など) やモルヒネ硫酸塩 (MSコンチン錠、カディアンカプセル、カディアンスティック粒、モルペス細粒など) は「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」、「筋ジストロフィーの呼吸困難時の除痛」に対して処方した場合には、審査上を認めると平成23年3月に国保連合会が通知を出しています。

よってALSや筋ジストロフィー患者の呼吸困難感時にはモルヒネの使用は保険審査上でも使用可能と考えられます。

また、モルヒネ錠・注は「激しい疼痛時における鎮痛・鎮静、激しい咳嗽発作における鎮咳、激しい下痢症状の改善及び手術後等の腸管蠕動運動の抑制」にも適応があり、非担癌患者にも使用可能といえます。

モルヒネ以外のオピオイドで、呼吸困難感に効果が期待できる薬剤として、代謝産物の約10%がモルヒネとなるコデインやヒドロモルフォンが挙げられます (※保険適用はない) 。

 

呼吸困難感に対するオピオイドの代替薬

不安などの心因性の呼吸困難感に対してはベンゾジアゼピン系の抗不安薬などの使用が選択肢として考えられます。心不全による肺うっ血があれば、利尿剤の投与にて軽減するケースもあります。また、COPDの既往歴があれば、気管支拡張薬やステロイドの服薬にて呼吸困難感が改善するケースもあります。酸素療法を行うことも一つの選択肢と考えられます。

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