【質問】小児における「五苓散注腸」という手法を拝見しました。そこで気になったのですが、五苓散以外の漢方薬や内服薬についても、経口投与困難な時に注腸されるケースはあるのでしょうか?
【A】漢方の注腸についてはいくつか報告があり、坐剤を作成するケースもあります。五苓散の注腸・坐剤の有用性についてはドンペリドン坐剤と比較した報告などもあり、漢方薬の中では最も多く報告されています。(小児の嘔吐に対する五苓散坐剤の効果 -ドンペリドン坐剤との比較-, 日本病院薬剤師会誌, 34, 1173-1176, 1998)
五苓散は水分代謝調節の機能をもった白朮、沢瀉、猪苓などの成分が含有されており、悪心、頭痛、めまい、下痢、腹痛、発熱などに用いられ、小児で頻発する急性胃腸炎から下痢などの症状に効果があると考えられます。
また、消化器癌終末期患者で、利尿剤を使用後も全身の浮腫が改善しなかった際に、五苓散坐剤の使用後に改善したと学会にて報告されています。(第70回 日本消化器外科学会学会)
五苓散以外には、イレウスに対して大建中湯や厚朴生姜半夏甘草人参湯