【質問】ディレグラ配合錠にアレルギーがある場合、エフェドリン塩酸塩注は使用可能か?(エフェドリン塩酸塩に対して過敏症状の既往がある場合はディレグラは禁忌となっているが、その逆はどうか‥)また、dlメチルエフェドリンを含む市販薬にアレルギーがある人にエフェドリンは投与しても大丈夫か。
【A】ディレグラ配合錠の成分の一つである「プソイドエフェドリン」は「エフェドリン」の立体異性体です。ディレグラ配合錠の添付文書には、「塩酸プソイドエフェドリンと化学構造が類似する化合物に対し過敏症の既往歴のある患者に禁忌」と明記されています。そのため、エフェドリン塩酸塩注においても、ディレグラ配合錠にアレルギーがある場合は、避けることが望ましいと考えられます。
また、dlメチルエフェドリンはエフェドリンと構造式が異なりますが、類似した化合物と考えられるため同様に、アレルギーのある患者に注意が必要と考えられます。
副作用報告データベースを確認すると、それぞれの薬剤において、アナフィラキシーが報告されています。
エフェドリン塩酸塩注射液やdl-メチルエフェドリン塩酸塩散10%にもディレグラ配合錠と同様に、化学構造が類似する化合物に対し、過敏症の既往歴がある患者に禁忌と記載する必要があるかと思いますが、記載されていない理由は不明です。以下に詳細を記載します。
ディレグラ配合錠 添付文書
禁忌
本剤の成分及び塩酸プソイドエフェドリンと化学構造が類似する化合物(エフェドリン塩酸塩又はメチルエフェドリン塩酸塩を含有する製剤)に対し過敏症の既往歴のある患者
エフェドリン塩酸塩注射液 添付文書
禁忌
カテコールアミン(アドレナリン,イソプレナリン,ドパミ ン等)を投与中の患者
dl-メチルエフェドリン塩酸塩散10% 添付文書
禁忌
カテコールアミン製剤(エピネフリン,イソプロテレノール等)を投与中の患者
→ディレグラ配合錠には「プソイドエフェドリンと化学構造が類似する化合物の過敏症がある患者には禁忌」と明記されていますが、エフェドリン塩酸塩注射液、dl-メチルエフェドリン塩酸塩散には記載されていません。
プソイドエフェドリンはエフェドリンと立体異性体の関係です。また、dlメチルエフェドリンはエフェドリンのアミノ基に1個のメチル基が入った構造式です。
【プソイドエフェドリンはエフェドリン (1R, 2S) のジアステレオマー】
【(1R,2R)- (1S,2S)はプソイドエフェドリン、(1R,2S) (1S,2R)はエフェドリン】※鏡像異性体‥エナンチオマー
※鏡像異性体でないもの‥ジアステレオマー
・アナフィラキシー反応について2020年2月8日時点で5例のディレグラ配合錠が被疑薬として報告されている。(副作用データベース)
・アナフィラキシー反応について2020年2月8日時点で5例のエフェドリン塩酸塩が被疑薬として報告されている。
・アナフィラキシー反応について2020年2月8日時点で2例の総合感冒薬(OTC)が被疑薬として報告されている。