【質問】日経DIにフェキソフェナジンと酸化マグネシウムの併用が記載されていましたが、過去に製薬会社からpHとアルミニウムとマグネシウムの条件下で起きうるため、酸化マグネシウム単独では起こらないと説明を受けました.酸化マグネシウム単独でも影響があるのでしょうか.ロスバスタチンのように酸化マグネシウムでは影響がないとする報告のように条件がそろわないと起きにくい相互作用なのでしょうか
【A】フェキソフェナジンの効果は「マグネシウム単独」と併用することで、減弱してしまう可能性があると考えられます。以下に詳細を記載します。
フェキソフェナジン
フェキソフェナジン(120mg)と「アルミニウムおよびマグネシウム含有制酸剤」を15分以内に併用すると、フェキソフェナジンAUCと最大血清濃度の両方がそれぞれ41%と43%減少する。水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウムがフェキソフェナジンを一時的に吸着することにより吸収量が減少する。 (米国添付文書)
マグミット錠はフェキソフェナジンと併用すると、フェキソフェナジンの吸収、排泄に影響を与えることがある。機序はマグネシウムの吸着作用又は消化管内・体液のpH上昇によると考えられる。薬剤の吸収・排泄に影響を与えることがあるので、服用間隔をあけるなど注意すること。(マグミット錠 インタビューフォーム)
健康成人男子22例にフェキソフェナジン塩酸塩カプセル120mg の投与15分前に水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウム含有製剤を単回投与したとき、フェキソフェナジンのAUC及びCmaxはフェキソフェナジン塩酸塩単独投与時の約40%減少した(外国人データ)。これは水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウムがフェキソフェナジンを一時的に吸着することにより吸収量が減少することによるものと推定された。(アレグラ錠 インタビューフォーム)
→フェキソフェナジンは「マグネシウム単独」の併用データはなく、「アルミニウムおよびマグネシウム含有制酸剤」の併用データしかありません。しかし、フェキソフェナジンの効果の減弱が「マグネシウムの吸着作用又は消化管内・体液のpH上昇」によるものと考えると、マグネシウム単独の併用でも、減弱してしまう可能性があると考えられます。
ロスバスタチン
制酸剤( 水酸化マグネシウム・ 水酸化アルミニウム)
本剤の血中濃度が約 50%に低下することが報告されている。本剤投与後2時間経過後に制酸剤を投与した場合には、本剤の血中濃度は非併用時の約 80%であった。(クレストール 添付文書)
水酸化アルミニウムと水酸化マグネシウムを含有する制酸剤と本剤とを同時併用したとき、本剤の Cmax及びAUCはそれぞれ単独投与時の50%及び46%まで低下した。本剤投与2時間経過後に制酸剤を投与した場合には、本剤のCmax及びAUC0-24hはそれぞれ非併用時の84%及び78%であった 。本剤と制酸剤の薬物動態学的相互作用の機序は不明である。本剤と制酸剤を併用する際 には、本剤投与後2時間以上あけてから制酸剤を投与する等、注意して投与すること。(クレストール インタビューフォーム)
ロスバスタチンと制酸剤 (水酸化アルミニウムと水酸化マグネシウム) が同時に投与された場合、ロスバスタチンAUCを54%および、Cmaxを50%減少させた。しかし、ロスバスタチンの2時間後に制酸剤を投与すると、AUC22%、Cmaxが16%減少と同時よりも低下は軽減された (Curr Med Res Opin. 24(4):1231-5, 2008)
→ロスバスタチンも同様に、制酸剤 (水酸化アルミニウムと水酸化マグネシウム) と併用することで効果減弱したと報告されています。