【Q】鉄剤は経口剤でなく注射剤でも消化器症状が発現するか?

【質問】鉄剤は内服でなく注射剤でも消化器症状がでることはあるのですか?

【回答】経口鉄剤は胃や十二指腸で放出された鉄イオンが胃腸粘膜を刺激することで、悪心、嘔吐、便秘、下痢などの消化器症状が発現します。また、経口鉄剤は主に小腸、特に十二指腸から吸収され、10〜20%の患者に消化器症状を主体とした副作用が出現すると言われています。

一方で、注射鉄剤は直接静脈内に入り、胃腸粘膜を刺激しないため、消化器症状はでにくいと考えられます。そのため、消化器症状により経口鉄剤が服薬困難な患者に対して注射鉄剤が使用されることがあります。

総症例 635例中44例 (6.93%) 、63件の副作用が報告されている。主な副作用は頭痛12件 (1.89%)、悪心7件(1.10%)、発熱 7 件(1.10%)等であった。(フェジン静注40mg 添付文書)

フェロ・グラデュメットは米国アボットラボラトリーズで開発された製剤で1錠中、乾燥硫酸鉄を鉄として105㎎を含有する徐放錠で、急激に高濃度の鉄を胃腸粘膜に接触させないように作られたものである。このため、鉄を持続的かつ効率的に吸収させることができ、胃腸に対する負担を少なくすることが確かめられている。
(フェロ・グラデュメット インタビューフォーム)

→フェロ・グラデュメットのように胃腸粘膜に対して急激で高濃度の鉄を接触させないように工夫された製剤もあります。

 

 

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