【Q】アドソルビン原末と併用薬剤は服用時間をどれくらいずらせばよいか?

【質問】アドソルビン原末について。他剤併用時、「併用薬剤の吸収・排泄に影響を与えることがある。この作用は薬剤の服用時間をずらすことにより弱まるとの報告がある」との記載があるが、具体的にどれくらいずらしたらよいかのデータがあるか?またずらす際は他薬より前のほうが良いのか、後のほうが良いか?

【A】一般的にアドソルビン原末は、消化管内における他剤との混合を回避するために、投与間隔を2〜3時間以上空けることが望ましいとされてます。ただし、Cmaxが1〜2時間程度であるニューキノロン系薬剤はアドソルビン原末の服薬2時間後に投与すれば、相互作用を回避できると考えられます。また、レボチロキシンと水酸化アルミニウムの併用は、少なくとも4時間はあけることが必要とされています。
以上より、アドソルビン原末(アルミニウム製剤)と他剤との間隔時間は、Cmaxや、どの程度の減弱を許容できるかによって異なると考えられます。

「ずらす際は他薬より前のほうが良いのか、後のほうが良いか?」→適切な投与間隔をあければ、「前」と「後」のどちらでも良いと考えられます。ただし、前と後では推奨投与間隔時間が異なります。(例 : シプロフロキサシン 2時間前または6時間後、レボフロキサシン2時間前または2時間後) (Lexicomp Drug interaction)

以下に具体的な内容を記載しましたので、参照してください。

 

テトラサイクリン系抗生物質
テトラサイクリン塩酸塩、ミノサイクリン塩酸塩等
ニューキノロン系抗菌剤
エノキサシン水和物、ノルフロキサシン、オフロキサシン等

臨床症状・措置方法
本剤との併用により、これらの薬剤の効果が減弱することがあるので、同時に服用させないなど注意すること。
この作用は薬剤の服用時間をずらすことにより弱まるとの報告がある。

機序・危険因子
本剤に含まれるアルミニウムとキレートを生成し、吸収が低下することにより、これらの薬剤の血中濃度が低下する。


その他の併用薬剤
臨床症状・措置方法
併用薬剤の吸収・排泄に影響を与えることがある。
この作用は薬剤の服用時間をずらすことにより弱まるとの報告がある。

機序・危険因子
本剤の吸着作用又は消化管内・体液のpH上昇による作用と考えられている。
(アドソルビン原末  添付文書)

→アドソルビン原末の添付文書には「同時に服用させない」、「この作用は薬剤の服用時間をずらすことにより弱まる」と記載されていますが、具体的な服薬時間については記載されていません。

 

テトラサイクリン系抗生物質
Al3+等、2 価あるいは3 価の金属と難溶性のキレートを形成する。また、胃内のpH が上昇することにより吸収を低下させる場合がある。

ニューキノロン系抗菌剤
ニューキノロン系抗菌剤のカルボン酸、カルボニル基と制酸剤に含まれる金属イオンとがキレートを形成し、ニューキノロン剤の吸収が阻害される。阻害の程度はニューキノロン剤と金属の種類によって異なる。
ニューキノロン剤投与後1~2 時間程度してから最大血漿中濃度が得られるので、ニューキノロン剤の投与2時間後に制酸剤を服用すれば、ほぼ回避できる。

その他の併用薬剤
本剤の吸着作用又は消化管内・体液のpH 上昇による作用と考えられている。
(アドソルビン原末 インタビューフォーム)

→アドソルビン原末のインタビューフォームには「ニューキノロン系抗菌薬は投与2時間後にアドソルビン原末を服薬すれば回避できる」と具体的な時間が記載されています。

 

Al/Mg含有制酸剤との相互作用についての報告

1. ランソプラゾール+Al/Mg含有制酸剤
ランソプラゾールのバイオアベイラビリティが13%の軽度な減少を示す。1時間後にランソプラゾールを投与した場合、相互作用はなし。13%と軽度なため意味はあまりない。

2.ロスバスタチン+Al/Mg含有制酸剤
ロスバスタチンのバイオアベイラビリティが半減する。2時間明ければ減少の程度は少なくなる。

3.レボチロキシン+Al/Mg含有制酸剤
胃腸管でのレボチロキシンがアルミニウムへ吸着するため4時間以上あける。

4. セフポドキシムプロキセチル(バナン錠)+Al/Mg含有制酸剤
バイオアベイラビリティが40%以上減少。2時間以上後に投与する

5. テトラサイクリン+Al/Mg含有制酸剤
消化管で混合しないように投与間隔を2から3時間以上あける

6.ステロイド+Al/Mg含有制酸剤
デキサメダゾンはできるかぎる時間をあけて服用。その他のステロイドは2から3時間の間隔をあける。

(Sticklers Drug Interactions)

→Sticklers Drug Interactions (ストックリー医薬品相互作用)は臨床試験、症例報告、システマテックレビューを含む刊行物に基づいており、信頼性が高いと考えられます。Al/Mg含有制酸剤はマルファ配合内服液 (水酸化アルミニウムゲル56g+水酸化マグネシウム4g) が挙げられます。

これらの記載内容から、薬剤によって推奨投与間隔が異なることがわかります。

 

ニューキノロン系薬剤+Al/Mg含有制酸剤

・レボフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン‥2時間前または2時間後に投与

・シプロフロキサシン‥少なくとも2時間前または6時間後に投与

・モキシフロキサシン (アベロックス)‥少なくとも4時間前または8時間後に投与

・ロメフロキサシン‥少なくとも4時間前または2時間後に投与

・スパルフロキサシン‥少なくとも4時間前または4時間後
(Lexicomp Drug interaction)

→薬剤によって、服用「前」と「後」で推奨される投与間隔時間が異なることがわかります。

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